日本における胆管がんの年間罹患者数は、胆嚢がんを含めて約2.2万人。年間死亡者数は約1.8万人にのぼり、日本人のがん死亡者数では6番目に位置しています。治療法は基本的に手術によるがんの切除しかありませんが、進行していると周囲の臓器に転移していることが多く、治療の難しいがんです。
肝臓から分泌された胆汁は胆嚢で濃縮され、食事のたびに十二指腸へと送られます。胆管は、肝臓と十二指腸をつなぐ細い管で、長さは約10~15cm、太さは0.5~1cmとなっています。この胆管に発生したがんが、胆管がんです。胆管がんは、胆管の粘膜に起きた炎症が慢性化することで発症すると考えられています。問題は、胆管に慢性の炎症が起こる理由が不明な点です。このため、胆管がんを予防する方法は見つかっていません。
胆管がんは、早期にはほとんど自覚症状がありません。胆管がんが進行すると現われる典型的な症状は、黄疸です。胆管がんによって流れが阻害されると、胆汁は肝臓内に逆流します。そして、胆汁に含まれる黄色の色素成分をもったビリルビンが血液に入って身体中に運ばれ、眼球の白目や皮膚が黄色く染まります。このとき、尿が(血尿のような)濃い茶色になったり、便が白っぽくなるといった症状も見られます。胆管がん以外の病気でも黄疸は起こりますが、放置しないでください。黄疸が胆管がんによるものであった場合、命に危険があるほど、がんが進行しているおそれがあります。
胆管がんに関しては、塩素系有機溶剤を使用する印刷業で死亡者 が多いという報告があります。塩素系有機溶剤に含まれる「ジ クロロプロパン」や「ジクロロメ タン」という化学物質を、長期にわたって吸引したことに原因があると考えられ、現在も調査・研究が続けられています。塩素系有機溶剤は洗浄剤として、印刷業界以外にもさまざまな産業 で使用されています。化学物質を含む溶剤の取り扱いには十分に注意することが、胆管がんのみならず、身体を守ることにつながります。また、胆管がんになると、血液検査で調べる肝臓の数値に異常が起こります。塩素系有機溶剤をあつかう方は、定期的に健康診断(血液検査)を受けることが定められています。 肝臓の数値に留意するようにしましょう。
●胆管がんは予後の悪いがん。
●黄疸がでたときは、胆管がんが進行している。一刻も早く医療機関の受診を。
●塩素系有機溶剤を使用する方は、定期的に健康診断(血液検査)を受けて肝臓の数値に留意する。
今年から、「熱中症特別警戒
アラート」が環境省より発表さ
れることになりました。これまでの「熱中症警戒アラ
ート」とは、どのような違いがあるのでしょうか?
熱中症警戒アラートは、ある
観測点の暑さ指数(気温、湿度、
幅射熱による指標)が33を超えると予測されたとき発表されます。このアラートが出たら、し
っかりとした熱中症予防が求め
られます。熱中症特別警戒アラートは、
各都道府県内のすべての観測点
で、暑さ指数が35を超えること
が予測されるときに発表されます。
この警報で重要な点は次のようになります。
●熱中症特別警戒アラートは、熱中症警戒アラートを超える危険を知らせる警報である。
●熱中症特別警戒アラートで想定されている事態は、これまで日本では起こっていない。
●このためこのアラートが出たら、過去に経験がない事態に直面していると捉える必要がある。
●熱中症特別警戒アラートが発表されたら、熱中症予防をさらに徹底するだけでなく、
場合によっては自治体が設置した「クーリングシェルター」に避難する。
昨年の夏は、観測史上最高の暑さを日本各地で記録しました。熱中症特別警戒アラートが発表される事態が起こらないことを望みますが、もし出されたら、熱中症予防のために最善の行動をとるようにしましょう。
資料提供:メディカルライフ教育出版