ストレスを感じると胃が痛む----こうした経験をされたことがあるかと思います。
心理的なものと臓器の働きには関係があり、自律神経によってコントロールされています。
このため自律神経の働きを整えることは、身体のコンディションを維持していく鍵となります。
●自律神経によって臓器は働く
自律神経は、脳と脊髄(神経の太い束)からなる中枢神経とつながった、全身に張り巡らされた末梢神経に存在します。
自律神経は臓器の働きと関係していて。呼吸や血液循環、消化、体温、発汗、排尿・排便など、さまざまな身体機能を調整しています。
自律神経には、「交感神経」と「副交感神経」が存在します。
交感神経は、身体に緊張をもたらす役割を担っています。
一方の副交感神経には、身体をリラックスさせる働きがあります。
このふたつは、日中は交感神経が優位になり、夜間は副交感神経が優位になるというように、生活リズムに合わせて交互に働きます。
●自律神経の働きはバランスが大事
中枢神経からの指令は末梢神経から臓器に伝わり、また、それらの発するシグナルが末梢神経から中枢神経に伝わります。
こうした情報のやり取りには、自律神経の交感神経と副交感神経がバランスよく働くことが大切になります。
では、自律神経のこうした仕組みにトラブルが生じるとどうなるのでしょうか?
●ストレスが自律神経の乱れに
白律神経の働きにもっとも悪影響を与えるものが、脳に対するストレスや身体が感じるストレスです。
精神的なストレスに加え、過労、睡眠不足といったことが、脳へのストレスとなります。
また、食欲不振、猛暑や厳冬、寒暖差、悪天候などは、身体的なストレスになります。
こうしたストレスによって交換神経が過剰に働いて自律神経が乱れると臓器や器官の不調につながり、さまざまな症状を引き起こします。
<自律神経の乱れによる精神面の症状>
うつ、不安、イライラ、倦怠感、集中力の低下。
<白律神経の乱れによる身体面の症状>
頭痛、肩こり、動悸、息切れ、血圧上昇、吐き気、食欲不振、下痢、便秘。
●自律神経を整えるためのセルフケア
自律神経の働きは、無意識のうちに行なわれる仕組みになっていて、それを意識的にコントロールすることはできません。
自律神経の交感神経と副交感神経のリズムは、日常生活のリズムと密接に関わっています。
このため自律神経を整えるには、睡眠・食事・運動によって、日常生活のリズムを整えることがポイントになります。
【睡眠】 睡眠のリズムを整えるには、体内時計の働きを知っておく必要があります。
体内時計は、朝の光を浴びるとリセットされ、14~16時間後にメラトニンという脳内物質を分泌することで人眠へと導きます。
朝7時に起きたら朝の光を浴びて、夜11時には寝るというように、 睡眠のリズムを一定にするようにしましょう。
【食事】 1日3食、決まった時間に食事を摂ること、とくに朝食を抜かないことは、休内のリズムを整えることにつながります。
【運動】 ストレッチで身体をほぐすことは、副交感神経を働かせるために有効です。入浴中や就寝前に、深呼吸をしながら軽めに行なうようにしてください。
自律神経失調症---医療機関によるケア
過労などによリ精神的なストレスを強く受けているうえに、臓器に(胃であれば胃炎や胃潰、腸なら腸炎や腸ポリープというような)器質的疾患がないにも関わらず、身体に不調が起きている状態を「自律神経失調症」と呼びます。 自律神経失調症の治療では、しっかりと休息・休養をとりながら、規則正しい生活への生活改善を行なっていきます。 さらに、症状に応じて、抗うつ薬、抗不安薬(精神安定剤)、睡眠薬を使用した薬物療法が選択されます。 また、ストレスの原因を取り除くためのカウンセリングや心理療法も効果的です。 自律神経失調症の治療には、心療内科の受診が勧められています。
資料提供:メディカルライフ教育出版