血圧は健康診断だけでなく、医療機関に備えられているものや家庭用の血圧計を利用して、
数値を定期的に確認しましよう。
収縮期血圧140mmHg/拡張期血圧90mHg以上となっていたら、
血圧をさげる取り組みを始めてください。
そこには、ふたつの鍵があります。
●高血圧は命に関わる
正常値より高い圧力が血管にかかり続ける状態---これを、高血圧と言います。
高血圧が改善されないと血管の伸縮性が損なわれて硬くなり(動脈硬化)、破れて出血するリスク
が高まります。
こうしたことが脳や心臓で起こると、命に関わる重篤な病気を引き起こしたり、
後遺症によって生
活が大きく制限を受ける状態を招きかねません。
●食事と運動かひとつ目の鍵
高血圧は、原因が特定できない「本態性高血圧」と、
なんらかの病気が原因で起こる「二次性高血
圧」があります。
患者数の割合としては、本態性高血圧が約9割を占めます。
本態性高血圧の原因を特定することは困難ですが、塩分の摂り過ぎ、肥満、過度の飲酒、運動不足、
ストレス、喫煙といったことが関係していることはわかっています。
高血圧(本態性高血圧)を患う方にとって、食事療法・運動療法による生活習慣の改善が、
血圧を
さげるためのひとつ目の鍵となります。
●診断基準と受診の目安
高血圧の診断基準は、(医療機関で測定した場合)収縮期血圧140mmHg/拡張期血圧90㎜Hg以
上
となっています。
なお2024年4月から、特定健診における高血圧の「医療機関受診勧奨基準」が変更になりました。
①収縮期血圧140以上160㎜Hg未満、または拡張期血圧90以上100㎜Hg未満=生活習慣を改善する努力をしたうえで、 数値が改善しないなら医療機 関を受診する。
②収縮期血圧160mmHg/拡張期血圧100mmHg以上=すぐに医療機関を受診する。
●薬物療法が二つ目の鍵
高血圧と診断された場合、年齢、性別、高血圧の重症度、糖尿病や脂質異常症、
なんらかの病気の有
無・状態など、さまざまなことを考慮のうえ、
高血圧の治療薬(降圧薬)による治療が行なわれます。
これが、血圧をさげるためのふたつ目の鍵になります。
降圧薬は、長期間の服用が必要になります。このため、薬の安全性はとても高くなっています。
【おもな降圧薬】
①カルシウム拮抗薬--日本でもっとも処方されている降圧薬。
血管を収縮させるカルシウム(Ca)イオンが血管細胞に流入するのを阻害することで、血管を拡張させて血圧をさげる。
②アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬(ARB) アンジオテンシンⅡという血圧上昇にも関わる物質の作用を抑える。
③アンジオテンシン変換酵素阻害薬(ACEI) アンジオテンシンⅠをアンジオテンシンⅡへ変換する酵素の働きを阻害する。
④利尿薬 尿の排泄を促し、血液中の水分量を減らして血圧をさげる。
●減塩のコツ
高血圧の予防や改善に取り組むときに、真っ先にあげられるのが「塩分摂取量」です。
日本人の塩分摂取量の平均は、男性10.5g、女性9.gとなっています。
食塩摂取の1日あたりの目標量は、成人男性で7.5g未満、女性で6.5g未満。高血圧の重症化を予防するには、
男女とも6g未満になります。
ちなみに、カップラーメン1個に含まれる塩分量は約6g。牛丼(並盛)に味噌汁をつけた場合は約5gになります。
日本人の塩分摂取量が多いことがわかると同時に、減塩の難しさも感じます。
減塩には、どう取り組めば良いのでしょうか?
食事における塩分の約7割は、「調味料」から摂取しています。
このため食塩はもちろんですが、醤油、味噌、ソース、マヨネーズ、ケチャップ、ドレッ
シング
---これらの使用量を減らす、減塩タイプのものに変更する
---こうしたことが塩分の摂取量を減らす第一歩になります。
調味料の減量や変更は味に関わることなので、最初は不満を覚えるかもしれません。
しかし慣れていけば、薄味の料理も美味しいと感じるようになっていきます。
資料提供:メディカルライフ教育出版