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血糖値のコントロール


血糖値が高いことが発症原因となる 「糖尿病」と「糖尿病予備軍」の人 を合わせると、日本では2000万 人を超えるとされています。 糖尿病の予防には、血糖値のコント ロールが大きな鍵となります。

●血糖値が高いと糖尿病を発症する

  血糖値は、血液中に含まれる糖 分(ブドウ糖)の値を表わす数値 です。 血糖値が高い状態が続くと「糖 尿病」を発症し、血液中のブドウ 糖によって毛細血管に障害が起こ ります。これにより、身体のさま ざまな部位に深刻な病気を発症し ます。 とくに、排泄障害の起こる「糖 尿病腎症」、目に障害が起こる「糖 尿病網膜症」、手足に輝れや痛み が起こる「糖尿病神経障害」は、 糖尿病の三大合併症と呼ばれてい ます。これらの合併症は、腎不全 による死亡、失明、手足の切断と いった重篤な症状に進む恐れがあ ります。 また、糖尿病の影響は毛細血管 だけでなく、動脈にも起こります (動脈硬化)。心筋梗塞や脳梗塞と いった動脈硬化が原因となる病気 にも、糖尿病は関係しています。

●食生活を見直して血糖値を下げる

 血糖値が高くなる理由はいくつ かあります。 ひとつは、習慣的な糖分の摂り 過ぎです。高血糖を避けるために は、「食生活を見直す」ことが必 須になります。 まず気をつけたいのが、暴飲暴 食を避けること。ゆっくりとよく 噛んで食べることです。これらは、 血糖値の急激な上昇を抑えてくれ ます。 そして、お米やパン、麺類とい った炭水化物の摂取には、量と摂 取方法に血糖値の変化を穏やかに するコツがあります。 摂取量の目安としては、ご白身 が一日に必要なカロリー(およそ 2000Kcal)の約60%を炭水化 物から摂るとされています。 食後の血糖値の急激な変化を抑 えるためには、野菜や海藻類を先 に食べ、その後にお米やパン、麺 類を食べるようにすると良いよう です。 簡単にできることなので、こち らも実践してみましょう。

●血糖値と内臓脂肪の関係ーーーーインスリン

 血糖値コントロールのもうひと つは、「運動を習慣にする」こと にあります。 血糖値を一定に保つために、膵臓ではインスリンというホルモン が作られます。このインスリンの 量や働きに問題があると血糖値は 高い状態になります。 インスリンに悪影響を与えるの が、臓器のまわりにつく脂肪(内 臓脂肪)です。内臓脂肪は、TNF-αという物質を分泌し、イン スリンの働きを阻害することが知 られています。 そして、インスリンの働きが悪 くなると、眸臓はそれを補うため に、さらに多くのインスリンを分 泌するようになります。しかし、 こうしたことが続くとやがて膵臓は疲弊し、インスリンを十分に分 泌できなくなります。すると、インスリンの働きはさらに悪くなります。こうして負のスパイラルが起こり、高血糖の状態が続きます。 内臓脂肪を減らすには食生活の見直しとともに、運動習慣を身につけることが大切になります。とはいえ、急に激しい運動をする必要はありません。食後に散歩をするといった、軽い運動から始めましょう。

●インスリン療法が必要になることも

 空腹時の血糖値が100mg/dl 以上、または食後2時間後の血糖 値が140ml/dl以上だと、糖尿 病予備軍となります。健康診断結 果票などで、ご自身の血糖値を確 認しましよう。 当てはまる方は血糖値を下げる ために、食生活の見直しと運動を 習慣にして内臓脂肪を減らすよう にしてください。 空腹時の血糖値が126ml/dl 以上、または食後2時間後の血糖 値が200ml/dl以上に2回以上 当てはまる場合は、糖尿病と診断 されます。 糖尿病になると、医学的な見地 に基づく食事制限や運動療法が必 要になります。 さらに、インスリンの量の不足 や働きの低下を改善するために、 インスリン療法が検討されます。 インスリン療法では飲み薬もあ りますが、それでも血糖値のコン トロールが不十分な場合は、入院 しての治療や自己注射によるイン スリンの補充が必要となります。

血糖値のコントロール イラスト

資料提供:メディカルライフ教育出版