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熱中症をゼロに


熱中症のメカニズムを知ることは、予防や応急処置を行なう時に助けとなります。
発汗機能が働かず、体温が急激にあがる---ここがポイントになります。

●発汗機能の低下が熱中症を招く

   熱中症になる大きな理由に、「発汗機能の低下」があげられます。
気温や室温が非常に高い環境下で発汗機能が低下すると、体温を正常に保つことができなくなります。
その結果、身体にこもった熱によって脳や内臓に支障が起こり、重症化すると死に至ることもあります。

 【ポイント】汗をしっかりかけないと熱中症のリスクが高まる。

●水分が足りない

 発汗機能が正常に働かなくなる 原因のひとつは、身体の水不足で す。
汗の99%は水分でできています。
身体が脱水状態になると汗をかくことができなくなります。
ただ、発汗しただけでは体温が下がるというわけではありません。
汗が肌の表面から蒸発することが必要で、このときに身体の熱を奪っていきます。
このため湿度が高く汗が蒸発しない状況では、発汗は正しく機能していない恐れがあります。
ほかに発汗機能に影響を及ぼすのは、加齢です。
高齢になると汗をかきにくくなります。65歳以上の方の熱中症リスクが高いのは、このためです。
また、基礎疾患のある場合や体調不良のときも発汗機能に影響します。

  【ポイント】身体の脱水・高温多湿の環境・加齢・基礎疾患・体調不良は発汗機能に影響して熱中症のリスクが高まる。

●発汗を促すために水分・塩分の補給を

 熱中症を防ぐためには、まずご自身の体温の変化に注意してくだ さい。
外や室内を問わず高温多湿の環境下で、いつもより体温が高くなっているときは、熱中症のリスクが高まっている状態です。
脱水症状を防ぐために、こまめに水分補給をしましよう。
汗をかくと水分だけでなく塩分も失われます。塩分の補給も大切です。
水分と塩分を同時に摂れる「経口補水液」の利用が勧められています。

 「ポイント」こまめな水分補給(経口補水液が理想的)で熱中症リスクを下げる。

熱中症 イラスト

●喉が渇いていない・暑さを感じない

 熱中症で死亡する人の割合は、65歳以上の方が87%を占めていま す。
加齢によって発汗機能が低下していることに加え、喉の渇きを感じにくくなり、水分補給が不足する。暑さを感じにくくなり、エアコンを使用控えしている、といっ たことが関係しています。
熱中症により屋内で死亡した人のうち、89.9%がエアコンを使用していませんでした。
ちなみに、室内の温度が28℃を超えると熱中症による死亡リスクが高くな ります。
室内の見やすい場所に温度計と湿度計を備えておき、暑さを感じていなくても、室温が28で、湿度が60%を超えるときは、積極的にエアコンを使用してください。

【ポイント】65歳以上の方は体感だけに頼らない熱中症予防を。

~熱中症の応急処置~

 熱中症が疑われる方が近くにいるとき、まず確認しなければならないことは、「意識障害」です。
意識がない、意識があっでも認識が明瞭ではない、言語の混乱といった場合は、迷わずに救急車を呼んでください。
意識がはっきりしている場合は、「自分で水分を 補給できるか」が重要になります。もし、自力で 水分補給ができないときは、誰かが無理に飲ませ るのは、誤飲する恐れがあって危険です。
早急に 医療機関を受診してください。 意識障害もなく、自分で水が飲める場合は、体温を下げるための応急処置をしましょう。
できるだけ涼しい場所(室内が理想)へ移動させ、服をゆるめ、太い血管がある箇所(首の前側、 肢の下、股関節部)に冷たいタオルなどを当てて 冷やします。

【ポイント】 意識障害と自分で水が飲めるかを確認。問題がなければ、体温を下げるための応急処置をする。 

資料提供:メディカルライフ教育出版