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新型うつ病から心身をまもる


新型うつ病から心身をまもる イラスト

 新型うつ病は、20~30歳代の若い世代に多く、労働者問題と してマスコミで度々取りあげられています。 新型うつ病の原因はストレスです。 このため、ストレス源から離れることが最善の対策になります。


●新型うつ病の多くは「適応障害」

 新型うつ病は、現代型うつ病や不定形(形や様式が定まっていな い)うつ病とも呼ばれています。新型うつ病でもっとも大きな誤 解は、「うつ病の軽い状態が、新型うつ病」という見方です。うつ病と新型うつ病は違うもので、症状の軽重は人によります。新型うつ病は一見すると病名のように感じますが、実際にはマスコミ用語です。 では、医学的には新型うつ病をどう見るかというと、その多くは 「適応障害(ストレス性障害)」と診断されます。このため、適応障害について知ることが、新型うつ病対策への第一歩となります。

●職場の人間関係や職務に適応できない

 適応障害は、「明確に特定できるストレス」を原因として発症す る、心因性精神疾患のことを言います。ストレスの例としてあげられて いるのが、職場の人間関係の悪化や職務・職責の変化です。そのほかにも、就職、転職、結婚、離婚といった、生活環境が大きく変わることがストレス源となります。こうした人間関係や生活環境の変化に「うまく適応できない」ときに、適応障害は起こります。

●心身ともに辛い状態に

 適応障害の症状は、精神面では、憂うつ、イライラ・思考力や集中 力の低下・無気力など、さまざまな形で現われます。身体的にも、鉛のような疲労感、不眠や過眠、食欲不振や過食、腹痛といった不調が起こります。本人にとって非常に辛い状態ですが、同時に問題となるのは、適 応障害を発症した人の行動です。

●問題行動が現れる

うつ病と新型うつ病の違い

 適応障害になると心身のバランスが崩れ、社会的には遅刻や無断欠勤、仕事の停滞、プライベートでは無謀運転や暴力的行為といった問題行動を起こすケースが増えます。トラブルの原因が自分にあっても相手のせいにする(他罰)感情が強くなり、周囲の人を混乱や困惑させる事態が起こります。こうしたとき、適応障害という病気のことを相手が知らないと、わがまま、自分勝手、能力が低い、危険人物というような負のレッテルを貼られ、状況はさらに悪化していきます。

●ストしス源から離れるのが最善策

 適応障害には、抗うつ薬が効きにくいという特徴があります。うつ病は、脳内のセロトニン不足が病気の原因になっています。このためセロトニンを補充するための抗うつ薬が有効です。適応障害の原因は、セロトニン不足ではないため、こうした違いが生じます。その一方で、有効な対策として、 特定したストレスから離れるという方法があります。仕事や職場がストレス源であれば、会社の上司と十分に話し合ったうえで、配置換えや休職、退職、転職といった選択肢は考慮する必要があります。適応障害ではないかと思う方は、精神科や心療内科を受診してください。会社に産業医がいる方は、相談してみるのもよいでしょう。

資料提供:メディカルライフ教育出版