階段で息切れするようになったら危険!
肺気腫を患った場合は、一日でも早く治療を行ない、病気の進行を遅らせる必要があります。
しかし、COPDの患者数は700万人とも推定されていますが、実際に治療を受けている人は20 万程度と非常に危惧される状態となっています。
肺の生活習慣病とも呼ばれる「COPD(慢性閉塞性肺疾患)」という病名は、一般的にも知られ るようになりました。肺気腫は、このCOPDに含まれる肺の病気です。 肺には、肺胞という組織があります。肺胞は、吸い込んだ酸素を血液中に送り、また血液が運んで きた二酸化炭素を排出するための組織です。 肺気腫は、この肺胞が障害される病気です。そしてダメージを受けた肺胞は、もう元にはもどらないという性質があります。
肺気腫になると、正常に二酸化炭素を吐きだせなくなります。
結果として、せきや痰が慢性的にで るだけではなく、「息苦しい」という自覚症状が強く現われます。
そして肺気腫による息苦しさは、徐々に悪化していきます。
最初は階段の昇り降りや、運動したときに起こっていた息苦しさが、やがて安静にしていても起こ るようになります。
さらに症状が悪化すると、日常的な酸素吸入が必要になり、酸素ボンベを携帯しなければ外出もま まならなくなります。
肺気腫を患うおもな原因は、「喫煙」です。
現在も喫煙習慣があるか、以前に喫煙習慣があった 方は注意が必要です。
たばこの健康被害を予測する目安として、「喫煙指数」という数字があり、次の式で計算できます。
■喫煙指数=1日に吸うたばこの本数×喫煙している年数
1日40本のたばこを、20年間喫煙している場合は40×20で、喫煙指数は800となります。
喫煙指 数が700を超えると肺気腫のリスクは非常に大きくなります。
肺気腫の原因となる喫煙には、他の人が吸っているたばこの煙による受動喫煙も含まれます。
ご自身は喫煙習慣がなくても、ご家族に喫煙者がいる。あるいは、喫煙者が多い職場で働いていた--
---こうした方で、階段の昇り降りといった軽い運動でも息切れを感じる場合は軽視するのではなく、
呼吸機能検査を受けて、肺気腫になっていないかを調べるようにしてください。
肺気腫によって破壊された肺胞は元に戻りませんが、治療を行なうことにより症状を緩和し、病気 の進行を遅らせることができます。
喫煙習慣がある方の場合は、肺気腫の治療に禁煙は欠かせません。
さらに治療では、のどから肺胞へと繋がる気管支を拡げて呼吸を助ける薬物療法が行なわれます。
肺気腫が重症の場合は、自宅に「酸素濃縮器」を設置し、機械によって鼻から酸素を供給します。
酸素濃縮器には、カートや背負って携帯できるタイプのものもあり、外出も可能です。
これらの治療により、呼吸が楽になることによって全身の機能が向上し、結果的に肺気腫の進行を 抑えることが期待できます。
ロコモティブシンドローム(ロコモ)は、加齢による運動機能の低下を意味する言葉です。
このロコモが、子どもたちにも見られるようになって問題になっています(子どもロコモ)。
例えば、骨折をした子どもの数が、50年前に比べて2倍に増えています。
そこには、現代の 子どもたちは身体の使い方が上手にできていない、骨や筋力が弱くなっているとの指摘があり ます。
子どもの身体能力のチェックには、次の4項目が使われています。
ひとつでもできないと子 どもロコモの疑いがあります。
①両手を広げて片足で5秒以上立てる。
②足裏を床につけ、後ろに倒れずにしやがめる。
③肘を曲げずに、両手を垂直にあげられる。
④膝を伸ばしたまま、指先を床につける。
調査によると、4つの動作のうち、ひとつ以上できない子どもは、40%にのぼるという報告 もあります。
子どもロコモの原因としては、外で遊ぶ機会の減少による運動不足。
スマホやゲーム機を長時 間使用することによる姿勢の悪化。さらには、肩甲骨・股関節の柔軟性の低下があげられています。
遊びながら身体を動かす機会を作る。猫背やお腹の突き出しといった姿勢に注意する。ストレッチを習慣にする。
これらを、子どもたちとともに、ご家族みんなで行なっていきましょう。
資料提供:メディカルライフ教育出版