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遺伝子検査


~一般的なものとがん医療の~ 

DNA(遺伝子)を解析する技術が進歩することで、遺伝子検査は 広く行なわれるようになりました。
まず遺伝子とはなにか、というところから話を進めていきましょう。


●遺伝子で病気のリスク・体質がわかる

DNAは細胞のなかに存在し、長い鎖のような形をしています。
A(アデニン)、T(チミン)、G(グアニン)、C(シトシン)という4つの塩基(遺伝情報を表わす文字のようなもの)でDNAは構成されていて、組み合わせは64通りになります。
この4つの塩基の配列の違いが、個人差につながっています。
一般的に行なわれている遺伝子検査は、おもに採取した唾液からDNAの塩基配列(遺伝子の型)を調べる検査となっています。 現在、特定の病気になるリスクがある遺伝子の型がいくつかわかっています。
また、遺伝子の型によって、その人の体質についても判定できます。
遺伝子の型と統計によるデータをもとにして、ある病気のリスクがどのぐらいか、体質による健康への影響はどうかなどを判定します。

●生活習慣の改善が目的

一般的に行なわれている遺伝子検査で注意したいことは、あくまでも統計的な観点から、病気や体質による健康リスクを推定するという点です。
実際にいま、どのような病気になっているかはわかりません。 また、病気や体質による健康リスクは、遺伝子だけで決まるのではないことも重要な点です。
遺伝子の型ではリスクが低くても、喫煙している方は肺がんのリスクが高くなります。運動量が少なく、脂肪分の多いものを食べていると肥満になります。
一般的に行なわれている遺伝子検査は、遺伝子による影響を知ることで、生活習慣を見直すためのきっかけにするというような活用の仕方がよいでしょう。

●がんの治療が目的

調べる遺伝子と目的の違いイラスト  がん医療における遺伝子検査は、 がんの組織や血液、せき髄液からがんのDNAを取り出し、「がん関連遺伝子」に変化があるかどうかを解析します。
一般的に行なわれている遺伝子検査が「正常な遺伝子」を調べるのに対して、がん医療における遺伝子検査は「がん化した遺伝子」を調べることになります。

●がん治療に進歩をもたらす

 がんの遺伝子検査によって、より正確な診断や治療法・薬剤の選定、治療効果の予測などにつながることが期待できます。 例えば、2000年代以降、がんの原因となっている分子(そのなかにある遺伝子)の解明が進みました。
これによって、この分子を標的にした治療薬「分子標的薬」を、肺がん、乳がん、大腸がん、腎臓がん、血液がんなどに使うことが できるようになり、効果が認められています。
分子標的薬は、がんに特徴的なたんぱく質を目印として細胞を攻撃する薬です。目印を持たない正常な細胞には作用しないので、副作用が少なくなると考えられています。
この分子標的薬を使用の判断をするときに、遺伝子検査が重要な役割をします。

●健康保険適用で受けられる

 がん医療における遺伝子検査は、二種類あります。 「標準治療で行なわれる遺伝子検査」ーーー1種類、あるいは少ない種類の遺伝子を検査する(標準治療とは、治療効果や安全性が確認され、医学的に推奨される治療)。 「がん遺伝子パネル検査」ーーー100種類以上のがんに関わる遺伝子を一度に調べる検査。標準治療が行なえない方を対象に、なんらかの薬剤が使えないか模索するために行なわれることが多い。 これらふたつの遺伝子検査は、医師が必要と認めた場合は、健康保険が適用になります。

資料提供:メディカルライフ教育出版