~それぞれの特徴~
2025年には、65歳以上の認知症患者数は約675万人と、5.4人ひとりがなると予測されています。
三大認知症と呼ばれる病気のそれぞれの特徴を知り、早期発見につなげるようにしましょう。
●アルツハイマー型認知症
アルツハイマー型認知症は、認知症のなかでもっとも発症する人が多く、約7割となっています。
アルツハイマー型認知症では、アミロイドβというタンパク質が脳に蓄積して神経細胞を死滅させ、 脳の萎縮が起こります。
初期症状としては、もの忘れといった記憶障害があげられます。
病気が進行するにつれて、記憶障害は生活に支障がでるほど悪化し、思考や判断力の低下、言語障 害といったことが起こります。
さらに病状が進むと、徘徊といった行動障害や幻覚・妄想などの精神障害、睡眠障害も目立つようになります。
この段階では、生活面でのサポートが欠かせなくなります。 やがて末期になると記憶障害はさらに進み、記憶のほとんどが失われます。
病気の進行には個人差はありますが、10年ほどの時間をかけてゆっくりと進行するとされています。
●血管性認知症
血管性認知症を発症する人はアルツハイマー型認知症に次いで多く、約2割にのぼっています。
血管性認知症の原因となるのは、脳梗塞や脳出血、くも膜下出血などの脳血管障害が起こったあとです。
血管が障害されている部位では血液の流が悪くなったり、十分な血液が届かず脳細胞が死滅するケースもあります。
血管性認知症では、同じことをしていても「できるとき」と「できないとき」が起こります。
また、「専門的で高度な仕事は問題なくできるのに、服が着られない」といったケースもあります。
これには、血液の流れがよいときと、そうでないときの違いが関係しています。
血管性認知症では、言語障害や歩行障害、感情のコントロールが難しいといったことも見られます。
●レビー小型型認知症
レビー小体型認知症は、レビー小体という神経細胞にできる特殊なタンパク質の塊が脳に出現して起こる病気です。
認知症患者の5%弱が該当しています。
症状としては、認知障害のほかに3つの大きな特徴があります。
①幻視=レビー小体型認知症は、視覚をつかさどっている部分(後頭葉)に病気が起こりやすい。
②パーキンソン症状=手の震え、筋肉のこわばり、動作が緩慢になるといった、パーキンソン病と似た症状があらわれる。
③レム睡眠行動障害=寝ているときに大声をあげたり、暴れる。
病気の進行は、アルツハイマー型認知症や血管性認知症よりも一般的に早いとされています。
●三大認知症を早期発見するには
認知症を完全に予防する方法は現在のところなく、高い確率で発症する恐れのある病気です。
認知症対策としては、早期に発見し、薬物療法や運動療法、食事療法を通じて、病気の進行を遅らせることとなります。
ただ、認知症の人は、自分か認知症だと認めたがらないという傾向があります。
そして、認知症によるもの忘れを、「加齢によるもの」と考えている方も多く見られます。
こうしたことが、認知症の早期発見を妨げています。
まず、認知症の症状について知るようにしましょう。
そして、思い当たる症状のある方や、家族、友人、知人に気がかりなことを指摘された方は、認知症かどうか診断を受けてください。
神経内科、神経科、精神科、心療内科、脳神経内科・外科、もの忘れ外来などの医療機関で、認知症の診断は受けられます。
●認知症診断で行なわれる検査
認知症診断では、本人やご家族への聞き取りによる「面談・診察」。
医療・介護方針を決めるための身体検査のほかに、神経心理学検査や脳画像検査が行なわれます。
○神経心理学検査
質問への回答や作業テストによって、一定の基準を満たしているか検査する(基準を下回ると認知症の疑いがある)。
○脳画像検査
CTやMRIによって脳を撮影し、脳の状態や働きを調べる。
資料提供:メディカルライフ教育出版