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未破裂脳動脈瘤と診断されたら


 未破裂脳動脈瘤は、くも膜下出血を引き起こす最大のリスクになっています。
●命を守るポイント :ご高齢で高血圧の治療を受けている方は、脳の専門病院か脳ドックで脳の検査を。


●脳の血管にできる瘤

 脳には、太いものから細いものくの血管が張り巡らされています。 脳動脈瘤は、血管が枝分かれしていく箇所にできます。 この部分の血管が、薄くなったり脆くなるとそこに血液が入り込み、瘤(コブ)のようなものができます。 脳動脈瘤の大きさは2mmぐらいの小さなものから、25mmを超えるものも存在します。

●脳動脈瘤の破裂=命の危険

脳動脈瘤の破裂 脳動脈瘤は、大きいほど破裂するリスクが高くなります。 脳動脈瘤の年間破裂率は3~6mmが0.5%、7~9mmで1.7%、10~24mmは4.4%。25mm以上だと33.4%と、非常に高い確率になります。ただ、脳動脈瘤の破裂リスクは大きさだけではありません。年齢や瘤の形、できた箇所によっても変わってきます。さらに、高血圧、喫煙習慣、過度の飲酒といったことでも、そのリスクは高くなります。そして、脳動脈瘤が破裂して起るのが、くも膜下出血です。くも膜下出血は、死亡率が約50%と高く、命を取り留めたとしても2割の方に社会復帰が困難な後遺症が残るという、きわめて危険 な病気です。

●自然治癒せず薬物療法は効かない

 脳動脈瘤がまだ破裂していない状態これを「未破裂脳動脈瘤」と言います。 未破裂脳動脈瘤の特徴のひとつが、一度できると、自然になくなったり、小さくなることはほとんど望めないことです。また、薬物療法では治療することができないため、個々の破裂リスクによって、経過観察か手術療法が選択されます。

●どうやって見つけるか

  来破裂脳動脈瘤はできたとしても、ほとんど自覚症状はなく、脳専門の医療機関や脳ドックを受診七て見つかるケースがほとんどです。 未破裂脳動脈瘤が起こりやすい年齢は、50~60歳代。女性は男性の約2倍多く発症すると言われています。ご高齢で高血圧の治療を受けている方や不安な方は、深刻な事態を避けるためにも、脳の検査を受けるようにしましょう。

どうやって見つけるか

●破裂リスクを定期的に調べる

未破裂脳動脈瘤が見つかっても手術の必要性がない場合は、経過観察を行ないます。経過観察は、半年や1年ごとに脳の状態を詳しく調べ、大きさや形などの破裂リスクが高まっていないかを検査します。 この間、高血圧の方は治療、喫煙や過度の飲酒を習慣にしている方は、生活改善に取り組むよう指導されます。

●破裂を防ぐための手術療法

破裂を防ぐための手術療法  未破裂脳動脈瘤の手術法は、3つがあります。 どちらも、未破裂脳動脈瘤への血液の流入を止めて、破裂を防ぐために行なわれます。
①開頭クリッピング術
頭蓋骨の一部を開けて(開頭)、瘤の根元を専用のクリップで挟んで血液の流入を止める。
②血管内治療(コイル塞栓術)
マイクロカテーテルというごく細い管を血管内に挿入し、そこから白金製のコイルを送り、瘤のなかを満たすことで血液の流入を止める。
③フローダイバーターステント治療
網目の細かい筒状の器具(ステント)を血管に留置して血流に変化を与え、瘤のなかに血の塊(血栓)を作ることで血液の流入を止める。 かを満たすことで血液の流入を止める。

資料提供:メディカルライフ教育出版