私たちが医療機関で診察や治療を受けたとき、その費用はどのように決まっているのでしょうか。日本の医療を支える「診療報酬」は、医療の質や仕組みと深く関わる重要な制度です。その基本から仕組み、そして最新の改定内容までをわかりやすく解説します。
●国民皆保険と診療報酬の役割
日本の医療保険制度は、すべての国民がなんらかの公的医療保険に加入する「国民皆保険制度」となっています。
この制度を基本として、保険診療による診察・検査・治療・薬の処方などを受けたときに、医療機関や薬局に支払われる対価が「診 療報酬」です。
診療報酬は、医療機関や薬局の重要な収入源となっており、人件費や設備の維持・更新費用などに充てられます。
診療報酬の決定は、「中央社会保険医療協議会(中医協)」の委員の合議による答申をもとに、厚生労働大臣が行ないます。
●点数で決まる全国共通の医療費
診療報酬の大きな特徴のひとつは、「診療報酬点数表」に基づいて、診療行為ごとに全国一律の公定価格(点数)が決められている ことです。
点数表の導入は1927年に始まり、1958年には現在の形ができたという歴史があります。
診療報酬の点数は「I点=10円」で計算されます。
一例をあげると、初診料は291点なので、291点×10円=2910円。
6歳以上~70歳未満の方は自己負担が3割のため、約873円になります。
●診療報酬の構成
診療報酬は2つの要素で成立しています。
○基本診療料
初診、再診、入院 などの基本的な診療行為の技術料を一括で評価したもの。
○特掲診療料
特定の医療行為(画像診断、投薬、手術など)に対して個別に定められた点数。
診療報酬はこれらの構成要素をもとに、行なった診療行為を点数表に従って加算していく「出来高払い方式」のほか、
一定期間の診 療行為をまとめて評価する「包括払い方式(定額制)」によって計算されます。
●診療報酬改定4つのポイント
診療報酬は2年に一度見直され、医療の現場や社会状況の変化に対応しています。
2026年6月の改正点は複数ありますが、ポイントとなるのは
「医療のデジタル化」「地域包括ケア」「物価高への対応」「医療スタ ッフなどの賃上げ」の4つになります。
【電子的診療情報連携体制への再編】
電子カルテや電子処方凄、診療情報の共有体制の整備状況に応じた、評価が行なわれます(届け出のあった医療機関などが対象)。
【包括期の医療に対する新たな評価】
地域包括医療病棟など、一定の基準を満たす医療機関を対象に、入院初期の医療提供体制が評価されます。
【物価高騰への対応】
外来・在宅・入院医療において、物価上昇を踏まえた新たな評価や加算が設けられます。
【ベースアップ評価の見直し】
看護職員や医療スタッフなどの賃上げを目的とした、評価の充実が図られます(届け出のあった医療機関・薬局が対象)。
●まとめ
診療報酬は、日本の医療提供体制を支える重要な仕組みです。 全国一律の点数制度により公平性を保ちながら、社会の変化に応じて見直されることで、医療の質と持続性の確保に役立っています。
資料提供:メディカルライフ教育出版