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乳がん検診について


乳がん検診について

 乳がんで死亡する方の数は、年々増加する傾向にあり、年間約一万五千人が亡くなっています。こうした状況を変えるには、乳がん検診の受診が大きな鍵になります。


●早期であれば完治が見込める

 乳房はその大部分が、母乳を作って乳頭へ運ぶ「乳腺」からできています。乳がんのほとんどは、この乳腺を構成している「乳管」に起こります。乳がんは、状態によって大きくふたつに分類されます。
○非浸潤性乳がん=がんが乳管にとどまっている状態。
○浸潤性乳がん=がんが乳管の周囲(リンパ管、血管など)に広がっている状態。
早期の乳がんは、このふたつのうち、非浸潤性乳がんのことを言います。この段階であれば、がんを取り除くことで完治が見込めます。

●触っただけではわかりにくい

  ここで問題となるのが、非浸潤性乳がんの特徴です。「乳がんの早期発見には、しこりを見つけることが大切」ということが知られています。しかし非浸潤性乳がんでは、手で触れてわかるようなしこりを自覚できないケースが多くあります。このため、セルフチェックだけだと発見は難しくなっています。そこで、非浸潤性乳がんを見つけるために、乳がん検診-とくに、そのときに行なわれる「マンモグラフィ検査」が重要になります。

●乳房の病変を画像で見つける

 マンモグラフィという言葉は、乳房を意味する「mammo」と画像を意味する「graphy」を組み合わせた造語です。マンモグラフィ検査は、乳房専用のX線撮影装置を使ったレントゲン検査になります。この検査は、手で触っただけではわからないしこりや、がん細胞が壊死して石灰化した病変を撮影することができるので、がんの早期発見につながります。マンモグラフィによるX線撮影が行なわれるときは、専用の板で 乳房を挟み、平たくする方法がとられます。 これは、乳房を平たくすることで乳腺の重なりを少なくし、がんを見つけやすくするためです。

●マンモグラフィは痛い?

 マンモグラフィ検査のときに乳房を挟むことで痛みを心配される方もいますが、撮影時間は数秒程度なので、過剰に心配する必要はありません。ただ乳房に張りがあるときは、痛みを感じやすい傾向があります。乳房の張りは生理と関係していることも多いので、検診を受ける日程を決めるときは、ご白身の生理周期を考慮しましょう。また、一回のX線撮影で乳房が受ける放射線量は0.05mSV(ミリシーベルト)です。これは人が一年間に受ける自然放射線2.4mSvよりはるかに少なく、身体への影響はありません。

●40歳以上の女性に乳がん検診は推奨

 乳がん検診は、「40歳以上の女性が、2年に一度」、定期的に受診することが推奨されています。40歳以上というのは、乳がんになる方の割合を年代別で見ると、40~60歳代が多くなっているからです。また、乳がんのがん細胞の大きさは、1㎝になるのに15年かかります。しかし、すでに1㎝のがんは、2年足らずで2㎝へと急激に大きくなります。2年に一度検査をすれば、少なくとも2㎝以内でがんが見つかる可能性があります。

●乳がん検診の受診を

 乳がん検診は、職場の健康診断や地方自治体が主催する健康診断、そして、さまざまな医療機関で実施されています。乳がん検診が普及し、検診率が70%を超える欧米では、乳がんによる死亡者数が減少しています。一方、受診率が4割程度にとどまっている日本では、死亡者数の増加傾向が依然として続いています。大切な命を守るためにも、40歳を過ぎたら乳がん検診を受診するように、ご本人のみならず、ご家族、そして社会全体で取り組んでいくことが必要になっています。

資料提供:メディカルライフ教育出版