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膵臓がん~早期発見や手術による根治が難しい~


膵臓がんは、60~80歳代での罹患率が高くなっています。ポイントはふたつです。
(1)膵臓がんと糖尿病は深い関わりがある。
(2)「局所進行性膵がん」は、保険適用で最先端医療が受けられる。

●膵臓の働きとは

膵臓には大きくふたつの働きがあります。 ひとつは、胃で消化した食物を腸で分解吸収するのを助けるための原液を分泌すること。 もうひとつは、血液のなかの糖(血糖)を調節するホルモン(インスリンなど)を分泌する役割です。このため膵臓に異常が起こると血糖値が高くなり、糖尿病の引き金となる恐れがあります。

●自覚症状と転移

膵臓がんの発症初期には、自覚症状があまりありません。しかし進行すると、腹部の痛みや、食欲不振、体重の減少といった症状が現われます。膵臓がんには、かなり初期のうちからほかの臓器への転移が起こりやすいという特徴もあります。とくに、膵臓の近くにある肝臓への転移がよくみられます。

●早期発見は可能?
COPDの肺

膵臓がんの早期発見には、「コンピュータ断層撮影検査(C’T検査)」の技術が進み、かなり小さいがんも発見できるようになりました。膵臓がんを発見するのに、もうひとつ重要な手掛かりがあります。それは、血糖値の急激な上昇です。膵臓は、血糖値を調節するホルモンを分泌することから、糖尿病と深い関わりがあります。実際のところ、膵臓がんを発症した方の四分の一は糖尿病を合併しているという報告もあります。

●根治を目指す手術療法

 膵臓がんのほとんどは「膵管」という原液を送り出す管に生じます。 膵臓がんの治療では、切除可能な場合は手術でがんを取り除いた のち、抗がん剤を使用した化学療法が選択されます。 ただ前述したように、膵臓がんは早期の段階から転移することがあるがんです。こうした場合は、 膵臓のがんの切除だけでは病気の好転が見込めないため、放射線療法や化学療法が検討されます。 膵臓がんでは、毎年30000人以上の方が亡くなっています。こうした状況に対して、最先端医療による治療は日々進歩を続けています。

●最先端医療が保険適用に

 がんが膵臓の表面を超えて周囲の血管などへ広がっているが、遠隔転移は起こっていない膵臓がんのことを、「局所進行性膵がん」と呼びます。 このタイプの膵臓がんは、手術による根治が困難となっています。そこで治療法としては、重粒子線を使用した放射線療法が選択肢にあげられています。 重粒子線を使用した治療の長所は、胃の後ろ側にある膵臓の一部である膵管に、ピンポイントで強い放射線を照射できることです。 現在のところ、重粒子線を使用した放射線治療を行なえる医療機関は限られていますが、2022年4月から局所進行性膵がんに対する重粒子線治療は、保険適用になっています。


生活ほっとニュース 生活ほっとニュース~ビタミンB1~ 石川医院 ヘッダー画像

ビタミンは、生命を意味する「vital」と、窒素化合物「amine」を組み合わせた造語です。そして13種類あるビタミンのなかで、最初に発見されたのがビタミンB1になります。ビタミンB1の働きは、摂取したブドウ糖を、身体活動を行なうためのエネルギーに変換することです。このためビタミンBIが不足すると、疲労を覚えるようになります。ただビタミンB1の欠乏は、それだけに留まりません。もっとも重要なことは、「脳の神経細胞」に影響を及ぼすことです。ビタミンB1が欠乏すると、脳の神経細胞が使用するエネルギーが不足して、機能低下を起こします。その結果、「ウェルニッケ脳症」の発症につながります。この病気の代表的な症状は、脳の奥の出血や意識障害、複視、歩行時のふらつきです。さらにウェルニッケ脳症の発見が遅れると、コルサコフ症候群(記憶障害や見当識障害、作話といった症状が見られる認知症)に進む恐れがあります。この病気を発症すると、回復は困難になります。ビタミンB1の不足を招くもっとも大きな原因は、アルコール依存症による食物の摂取不足です。アルコールの習慣的な過剰摂取は非常に危険であるという意識を持つとともに、お酒を断つために医療機関で相談することが大切になります。

資料提供:メディカルライフ教育出版