石川医院 ヘッダー画像

熱中症から身体を守る


令和4年の5~9月に、熱中症で救急搬送された人数は、7万人を超え、平成20年の調査開始以来、3番目に多くなりました。熱中症を予防するには、ポイントを知っておく ことが大切です。身体的、年齢的、環境的要因(室内・屋外)に分けてご紹介します。 あわせて、身近な方が熱中症になったときの応急処置について確認しておきましよう。

熱中症 イラスト1

●身体的要因=熱中症ば体温調整に乱れから起こる

 人間の体温は、高くなると汗を出し、その汗が蒸発することで、一定の範囲内に収まるように調整されています。しかし高温多湿の環境で、発汗と汗の気化のメカニズムが阻害されると、命に危険が及ぶほど体温が上昇します。これが熱中症です。症状としては、発熱、けいれん、嘔吐、意識障害、失神といったことが起こります。
[熱中症予防のポイント]
体温を調整するには、発汗と汗の蒸発の両方が必要。汗のもとになる「水分」をこまめに補給する。湿度が高いと汗は蒸発しにくくなるので、「湿度の高い環境」に注意。

●年齢的要因=65歳以上の人ぱ熱中症のリスクが高い

 熱中症で死亡する人の割合は、 65歳以上の方が87%を占めていま す。 その理由として、加齢によって 体温調整の機能が低下している。 喉の渇きを感じにくくなり、水分 補給が不足する。暑さを感じに くくなり、エアコンを使用控えしている、といったことが挙げられます。
【熱中症予防のポイント】
65歳以上の人は体感に頼らずに、こまめな水分補給とエアコンの仕様を。

熱中症 イラスト2

●環境的要因(室内)=熱中症の危険は自宅がもっとも高い

 総務省の調査によると、熱中症で救急搬送された人の43.9%は、住居の敷地内で発症していました。れは、屋外の9.4%を大きく回っています。また、東京都監察医務院の調査では、熱中症により屋内で死亡した人のうち、89.9%がエアコン使用していませんでした。

【熱中症予防のポイント】
室内の見やすい場所に温度計と湿度計を備えておき、暑さを感じいなくても、室温が28℃、湿度が60%を超えるときは、「積極的にエアコンを使用」する。自宅でエアコンが使用できない 場合は、公民館や図書館、大規模商業施設などで、昼間2時間程度過ごす。

●環境的要因(屋外)=真夏日は厳重警戒

屋外での熱中症の危険度を知るための目安に、「暑さ指数(WBGT)」があります。そして天気予報でよく聞かれる言葉に、「真夏日」「猛暑日」という言葉があります。最高気温が30℃を超える日が真夏日、35℃を超える日が猛暑日です。暑さ指数と真夏日・猛暑日を重ねあわせると、「真夏日は熱中症に厳重警戒」「猛暑日は熱中症の危険日」となります。また熱中症による死亡率は、気温が30℃を超えると上昇し、34℃ を超えると急激に増加します。
【熱中症予防のポイント】
「気温が30℃」を超えていたら、不要不急の外出は控える。屋外での運動は避け、屋外作業には十分な注意を。

熱中症 イラスト3

●熱中症の応急処置

熱中症が疑われる方が近くにいるとき、まず確認しなければならないことは、「意識障害」です。意識がない、意識があっても認識が明瞭ではない、言語の混乱といった場合は、至急、救急車呼んでください。救急車を待つ間、できるだけ涼しい場所(室内が理想)へ移動させましょう。服をゆるめ、太い血管がある箇所(首の前側、腋の下、股関節部)に冷たいタオルなどを当てて冷やします。できれば直接体に水を10Lほど、かけてください。意識がはっきりしている場合は、「自分で水分を補給できるか」が大切になります。もし自力で水分補給ができない場合は、早急に医療機関を受診してください。

資料提供:メディカルライフ教育出版