もやもや病という少し変わった名前を持つこの病気は脳の血管に生じます。このため、脳梗塞や脳出血といった、命の危険のある重篤な病気を引き起こすリスクになっています。もやもや病は、厚生労働省の指定難病でもあります。
●もやもやとした細い血管
もやもや病は、脳の動脈(内頚動脈)が細くなったり、詰まったりすることから始まる病気です。 これによって、脳へ送られる血液が不足します。 このとき、脳へ送られる血液の 不足を補うために、複数の細い血管が発達します。 この複数の細い血管が、煙のようにもやもやっと見えるため、もやもや病と名付けられました。
●10歳以下の子供にも
もやもや病の方の割合は、人口10万人あたり6~10人(一年間では0.5人)程度。患者の多い年齢は、10歳以下と40歳前後です。 もやもや病の発症の原因は分か っていません。 ただ、もやもや病に関係するとされる遺伝子が発見されています。また、もやもや病患者の10人に1人の割合で、近親に同じ病気をもつ方がいるという報告もあります (とはいえ、必ず遺伝するといった病気ではありません)。
●虚血発作と脳出血
もやもや病によって生じる血管は、とても細く、脆いものとなつています。これによって脳に深刻なダメージが起きるリスクが、ふたつあります。 (1) 脳の動脈の詰まりの進行や、もやもや病によって生じた血管では血液を十分に補えないことで起こる「虚血発作」。 これは、顔面や手足のしびれや麻庫、言語障害、感覚障害と いった形で現われます。 (2) 細くて脆い血管が破れて、「脳出血」を起こす。 脳出血を起こすと、手足が動かせない(動かしにくい)といった後遺症が残ったり、生命に危険が及ぶこともあります。
●もやもや病の早期発見
もやもや病に限らず、脳のトラブルの初期段階では、「一過性脳虚血発作」や、「けいれん発作」が起こることがあります。 一過性脳虚血発作は、一時的に虚血発作が起きたものの、脳の血 流が回復し、(多くの場合、数分から数十分で)発作が治まります。 このとき大事なことは、発作が治まったからといって、そのまま放置しないことです。 必ず、医療機関を受診してくだ さい。 こうした発作は、脳梗塞を発症したときにも起こります。すぐに症状が治まらないときは、救急車を呼ぶようにしましよう。
●もやもや病の治療
もやもや病の治療には、薬物療法と手術療法があります。 薬物療法では、抗血小板剤(血液をサラサラにする薬)を内服します。これにより、血液の流れを良くすることや血管が詰まるリス クを減らすことが期待できます。 手術療法としては、脳の血管に頭皮の血管をつないで血流の増加を目指す、直接的血行再建術。脳や頭蓋骨を包んでいる膜などを脳 の表面に密着して、血流の増加を目指す間接的血行再建術があります。
令和5年1月から、一部の医療機関・調剤薬局で、電子処方箋が利用できるようになりました。 電子処方箋は、紙で発行されていた処方箋を電子化したものです。 紙の処方箋では、他の医療機関で処方された薬の確認は、問診やお薬手帳で行われてきました。 電子処方箋は、複数の医療機関や調剤薬局をつなぐ安全な(オンライン)ネットワークで運用されます。 これにより、複数の医療機関や調剤薬局でお薬の情報がスムーズに共有され、診察や治療に生かされます。同じ成分の薬の重複投与や、飲み合わせがよどない薬の服用をさらに防ぐことができます。
そのほかにも、在宅医療や遠隔地医療、オンライン診療などを受けている患者が、ご自宅の近くでお薬を受け取れるようになること。災害や事故のときに治療を担当する医師に正確にお薬の情報が伝わることなどが、メリットとしてあげられています。 電子処方箋の利用は、これ主での健康保険証でもできますが、マイナンバーカードの健康保険証を使うとより便利になります。 マイナンバーカードの健康保険証では、電子処方箋の情報は「マイナポータル」に反映されます。過去のお薬情報を確認するのが簡単になるだけでなく、医療費控除を受けるときにも活用できます。
資料提供:メディカルライフ教育出版