白内障の多くは、加齢によって発症します。40代から始まり、60代では6~8割、80歳以上ではほぼすべての方が白内障になるという報告があります。白内障とは、どういった病気なのでしょうか?
眼球を外側からみると、色の濃い丸い部分があります。これは瞳孔(どうこう)と呼ばれる部位です。 水晶体は、この瞳孔のなかにあります。 水晶体の働きは、外から入ってきた光を適度に屈折させ、網膜に像を結ぶことです。このため、カメラのレンズに例えられます。 水晶体の大部分は、水とたんぱく質からできています。 大きさは直径9皿、厚さは4皿程度で、凸レンズ(あるいはラグビーボール)のような形をしています。 この水晶体になんらかのトラブルが起こると、光を適度に屈折させることができず、見え方に障害が生じます。
白内障は、水晶体が濁ってしまうことで起こる病気です。そこには、水晶体のなかのたんぱく質が変化してしまうことが関係しています。 水晶体が濁ると、なかに入ってきた光に屈折異常が起こり、適切な像を網膜に結べなくなります。このため白内障になると、視界がかすむ、ものがぼやけて見える、まぶしい・・・といったことが起こります。 ただ、見え方に関する感じ方はさまざまで、生活に大きな支障があるといったケースもあれば、あまり自覚症状がないという方もいらっしやいます。
白内障による失明率は日本では約3%と、非常に低く抑えられています。 しかし世界に目を向けると、白内障は失明原因のトップとなっています。とくに発展途上国においては、こうした傾向が見られます。これには、十分な医療が受けられるか、そうではないかといった問題が関係しています。 このことは日本に住む私たちにとっても非常に大切で、医療機関を受診しないで白内障を放置して しまうと、失明や目に重大な障害が起こるリスクが高くなることを示唆しています。
白内障の治療には、点眼薬による薬物療法と手術療法があります。 ただ、点眼薬による治療は、白内障の根治を目的としたものではありません。根治を目指す場合は、手術療法が選択されます。 白内障の手術では、濁ってしまった水晶体を除去し、そこに眼 内レンズ」を入れる手術法が一般的です。 眼内レンズは、1点に焦点を合わせる「単焦点眼内レンズ」だけでなく、健康保険適用外ではありますが、遠近2点や3点に焦点を合わせる「多焦点眼内レンズ」も選択できるようになっています。ちなみに、多焦点眼内レンズだと手術後に老眼鏡を使用するケース を大幅に減らすことができます。
例年11月から4月にかけての寒い時期は、浴槽で溺れて亡くなる事故が起きやすくなります。 とくに65歳以上の方は注意が必要で、厚生労働省人口動態統計によると、この世代の方の浴槽内での溺死及び溺水による死亡者数は5千人近く。これは、交通事故によって亡くなった方の2倍を超える数字になっています。 浴槽で溺れるもっとも大きな原因となるのが、血圧の急激な変化です。 冷えた脱衣所や浴室では、寒さで血管が収縮し、一時的に血圧が高くなります。この状態で浴槽に入ると今度は、身体が温まったことで血管が広がり、血圧が低下します。 血圧が低下すると脳へ送られる血液が減少し、一時的な意識
障害(気を失うこと)が起こります。この意識障害が、浴槽の溺死という事態につながります。 こうした事態を防ぐために、
次のことを実践しましよう。
①脱衣所と浴室を暖めておく。
②かけ湯をしてから浴槽に入る。浴槽から急に立ちあがらない。
③お湯の温度は41℃以下にして、浴槽での時間は10分まで、肩まで浸からないようにする(42℃でのお湯に10分以上浸かると、体温が38℃になるという研究結果がある)。
④食後すぐや飲酒のあと、医薬品服用後すぐの入浴を避ける。
資料提供:メディカルライフ教育出版