脂肪の消化を助ける
胃や腸に比べて、胆嚢や胆管の健康に注意しているという方は少ないかと思われます。それでも「胆石」という病気は、気にされたことがあるのではないでしょうか。胆嚢と胆管---これらはどのようなものか、見ていきましょう。
胆嚢は、肝臓と十二指腸をつなぐ管の途中にあります。 長さ10cm・幅4cm程度の大きさの臓器で、洋梨のような形をしていて、袋状になっています。 胆嚢はこの袋のなかに肝臓で作られた「胆汁」を溜めます。このとき、胆汁に含まれる水分を吸い取って濃縮する働きもしています。 ちなみに胆汁は、消化・吸収しやすいものに、脂肪を変化させる液体です。 胃で消化された食物が十二指腸に届くと、その刺激で胆嚢は収縮し、十二指腸に胆汁を送りだします。 そして十二指腸は、胆汁をはじめ、消化を助けるさまざまなものを消化物に混ぜ合わせて、栄養を吸収するための臓器・小腸に届けます。
胆管は、肝臓・胆嚢・十二指腸を結ぶ管で、この管を胆汁が通っていきます。 長さは約10~15cm、太さは0.5~1cmとなっています。 詳しく見ていくと胆管は、肝臓に張り巡らされた細い管(肝内胆管)が合流して、一本の太い管(総肝菅)となるところから始まります。 総肝管は、胆嚢とつながる胆嚢管との合流を境に、総胆管になります。 そして、総胆管は原液が流れる眸管とともに、十二指腸の入口である十二指腸乳頭へと接続します。
胆汁の成分のなかには、コレス テロールが含まれています。この コレステロールが結晶となり、石のような塊まりになったものが胆石です 年齢とともに胆石はできやすく、65歳以上だと約15%に見られます。 胆石ができるもっとも多い部位は胆嚢ですが(胆嚢結石)、胆管 にできることもあり、こちらは部位によって総胆管結石や肝内結石などと呼ばれます。 胆石が胆管を詰まらせると、みぞおちのあたりに激しい腹痛が起こります。この症状は、脂肪分の多い食事を摂ったあとに起こりやすいことが特徴で、症状は何度も繰り返されます。 大便の色にも注意をしてください。胆管が詰まると、胆汁の成分で大便の色に関係するビリルビンが正常に送られなくなり、灰色がかった便になります。また黄疸(皮膚や目が黄色くなったり、体が痒くなる)も、胆石が詰まっていることの重要なサインとなっています。 こうした異変があるときは、医 療機関を受診して、かかりつけ医に相談しましよう。 胆石が詰まった状態を放置していると急性胆嚢炎を発症する恐れがあります。 急性胆嚢炎が起こると胆嚢が腫れるだけでなく、病気の進行とともに胆嚢の壊死や、まわりの臓器と癒着を起こすこともあり、腹部の激痛はさらに厳し くなります。
新型コロナウイルスの感染者が増加するなか、インフルエンザの大規模な流行はこの2年ほどまったく発生しませんでした。 そうしたなかオーストラリアでインフルエンザが大流行している、というニュースが大きく報道されています。 日本とオーストラリアでは季節が逆になります。これから冬(インフルエンザの流行期)に向かう日本でも、十分な注意が必要です。 オーストラリアでもこの2年ほど、インフルエンザの流行レ ベルは低い状態でした。 オーストラリア保健省の記録では昨年の1月から8月中旬までに確認された感染者は460人ほどで、亡くなった人はいませんでした。 ところが、今年は同じ時期の集計で、インフルエンザの感染者は21万6000人余り、死亡者数も273人となっています。この人数は、新型コロナ前のインフルエンザ流行時のピークを上回っています。 こうした状況はオーストラリアにおいて、新型コロナの感染症対策が大幅に緩和されて以降に起こりました。 引き続き感染対策を徹底しながら、65歳以上の方や2歳未満の乳幼児、妊婦、基礎疾患のある方はインフルエンザワクチンの接種が、とくに推奨されています。 また新型コロナとインフルエンザワクチンは、同時に接種することも可能です。
資料提供:メディカルライフ教育出版