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筋肉を鍛えて、サルコペニアを予防しよう


イラスト 年々、筋力が衰えてきた---そう感じていながらも、「歳のせいだから仕方ない」と、諦めてしまってはいませんか? 加齢にともなう筋力の低下は、生活の質(QOL)に影響を及ぼすだけでなく、要介護になるリスクがあリます。サルコペニア予防には、できるだけ早くから取り組むことが大切です。


●サルコペニアとは

 サルコペニアは、加齢に伴い、筋肉の量が減少し、筋力が低下していくことを意味する言葉です。 ギリシヤ語で筋肉を意味する「サルコ」と、喪失を意味する「ペニア」を合わせた造語になっていて、1989年にアメリカの学術雑誌ではじめて提唱されました。さらに2016年、国際疾病分類に登録されたため、サルコペニアは現在、疾患として扱われています。 サルコペニアは、背中の筋肉や腹筋、膝を曲げ伸ばしする筋肉、お尻の筋肉などに多く見られます。これらの筋肉が衰えると身体機能が低下し、立ちあがったり、歩くことに影響が及びます。こうした状態を放置していると、寝たきりになるリスクにもなります。 

●サルコペニアのセルフチェック

サルコペニア   チェック サルコペニアかどうかは、次の三つ方法でチェックできます。

①筋肉量 

 ふくらはぎの最も膨らんだ部分が、男性は34㎝未満の方。これは「指輪っかテストという簡単な方法でも調べることができます。 ふくらはぎの一番太い部分を両手の親指と人差し指で輪っかを作るように、力を入れずに囲ってみます。 このとき、両手の親指と人差し指がついてしまう方は、サルコペニアの疑いがあります。

 ②握力 握力が男性で28㎏、女性は18㎏未満の方は、サルコペニアの疑いがあります。

 ③歩行速度 歩行速度が1m/秒以下の方。 信号機のついた横断歩道は、歩行速度が1m/秒あれば、渡り切れるようになっています。

 青になってすぐに渡りはじめたのに、渡り終える前に信号が変わつてしまうことが頻繁にある----こうした方は、歩行速度が1m/秒を下回っていることが考えられます。そのほかにも、「椅子から5回 立ちあがる」という方法でもセルフチェツクできます。このとき12秒以上かかる方は、サルコペニアのリスクが高いとされています。

●運動によって筋肉を鍛える

 サルコペニアの予防は、運動をすることがポイントになります。とくに勧められているのが、「レジスタンス運動」と「有酸素運動」です。万 レジスタンス運動は、筋肉に抵抗(レジスタンス)を加える運動です。 例えば、腕立て伏せや腹筋、スクワットなどがあげられます。これらの運動は、腕立て伏せであれば膝を吹いた状態で、腹筋はおへそが見えるぐらいの浅い角度に、スクワットは椅子を使ってといったように、出来るだけ楽な方法で行なうと長続きしやすくなります。

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 有酸素運動は、息を吸いながらできる運動です。ウォーキングやジョギング、水泳などが一般的ですが、できるだけ歩く習慣をつけるといった、生活のなかでひと工夫でできる方法も有効です。 ただ運動に関しては、すでにサルコペニアになっている方や何らかの病気を患っている方は、かかりつけの医師に相談してから行なうようにしてください。

●たんぱく質によって筋肉を維持する。

 サルコペニアを予防するには、運動と同時に、栄養をしつかり摂ることが大切になります。 とくに筋肉を作るのに必要な栄養は、たんぱく質です。 たんぱく質は、肉や魚、大豆、卵、乳製品などに多く含まれています。 これらを1日に(体重1㎏あたり)1.2~1.5g程度、摂るとよいと されています。これは体重60㎏の方であれば、一日あたり72~90g程度のたんぱく質の摂取量となります。 おおよその目安としては、(一日三食として) 一食あたり、片方の手のひらに乗るぐらいの大きさの肉や魚、豆腐、納豆などを摂るようにしてください。イラスト5

資料提供:メディカルライフ教育出版