石川医院 ヘッダー画像

皮膚科における光線療法


皮膚における過剰な免疫反応を抑える効果が紫外線にはあります。この性質を安全に利用した治療法が光線療法(紫外線療法)です。薬物療法で十分な効果が得られないときの治療法として一つの選択肢となっています。

●免疫機能が皮膚のトラブルの原因に

皮膚科の治療においては、患部 への塗り薬や、疼みや症状を抑え るための飲み薬がおもに使用され ます。しかし症状によっては、こ れらの薬物療法で、皮膚の状態が 十分に改善されないことがありま す。とくに、アトピー性皮膚炎や 乾癖といった。免疫の働きに異常 があると考えられる皮膚病では、 こうしたケースがよく見られます。 そうしたときに、追加的な治療 法として、「光線療法(紫外線療 法)」が検討されます。ちなみに、 皮膚科における光線療法は、薬物 療法と同時進行で行なわれます。

●光線療法は紫外線を使う

光線療法は、(顔の一部を除く) 身体全体や症状のある部分のみに、 紫外線を照射することで行ないま す。 なぜ、紫外線が使われるかとい うと、紫外線には皮膚における過 剰な免疫反応を抑える効果がある からです。このため、アトピー性 皮膚炎や乾疸、尋常性白斑といっ た、免疫の異常が関係している皮 膚疾患に用いられます。 ところで、「紫外線は危険」と いう認識を持たれている方もいら っしやるかもしれません。 光線療法で使う紫外線では、人 体に悪影響を及ぼす波長はカット されています。一時的に紫外線を 照射した部位に赤味が起こること はありますが、安心して治療を受 けることができます。

●光線療法の種類

 紫外線には、UVAとUVBと UVCの三種類があります。この うちUVCは使用されていません。 光線療法として以前は、UVA を使用した「PUVA療法」が多 く行なわれていました。PUVA 療法の場合、治療のさいに光に対 する感受性を高める薬物(ソラレ ン)を使用します。このため、治 療期間中はできる限り日光に当た らないようにする必要があります。 光線療法においては、2000 年代以降、UVBを使用した「ナ ローバンドUVB療法」が主流に なりました。 ナローバンドUVB療法では、 皮膚疾患に効果的な紫外線のなか でも、さらに狭い波長を利用しま す。このため、短時間の照射で、 非常に高い効果が得られます。 ナローバンドUVB療法は、三 面鏡のような機器のまえに裸にな 「つて立ち、全身に紫外線を照射す る方法です。 現在では、UVBを患部のみに 集中して照射する「エキシマライ ト」という装置を使った光線療法 の普及も進んでいます。

●健康保険も適用されます

 ナローバンドUVA療法やエキ シマライトを使った光線療法では、 紫外線の照射を受けた部位は温か さを感じる程度で、痛みが生じる 心配はありません。紫外線の照射 時間は、症状や部位の数によって 変わってきますが、おおむね数分 程度です。週に1~2回程度の通 院が望ましいとされています。 なお、アトピー性皮膚炎、乾癖、 尋常性白斑、掌跳膿瘤症、類乾癖、 慢性苔癖状枇糠疹、悪性リンパ腫、 菌状息肉症に対する光線療法は、 健康保険が適用されます(202 0年4月からは、円形脱毛症に対 しても健康保険が適用されるよう になりました)。

生活ほっとニュース~ふたつのワクチン

 例年通り10月から、インフル エンザワクチンの接種が始まり ます。 今年は、新型コロナウイルス 感染拡大の影響を受けて、イン フルエンザワクチンの需要がさ らに高くなるのではないかと予 想されています。しかしその一 方、ワクチンの供給不足を心配る声もあかっています。 このため、インフルエンザの 重症化リスクが高い65歳以上の 方は、できるだけ早めにワクチ ンの接種を申し込むことが強く 推奨されています。 新型コロナウイルスやインフ ルエンザウイルスは重篤な肺炎 を引き起こし、場合によっては 命の危険があることはよく知ら れています。 ここで十分な注意を向けたい のが、『肺炎球菌』という細菌 の感染によって起こる肺炎につ いてです。実は、肺炎で亡くな る方のうちでもっとも多いのが、 この肺炎球菌の感染が原因とな っています。 肺炎球菌には、抗生物質によ る治療が有効でした。しかし現 在では、抗生物質に耐性を示す タイプが増加し、治療が難しく なってきています。このため、 肺炎球菌感染症の約80%を予防 するとされている、肺炎球菌ワ クチンの予防接種が、65歳以上 の方には強く勧められています。 肺炎球菌ワクチンは、インフ ルエンザワクチンとの同時接種 も可能です。ぜひ、かかりつけ の医師に相談してください。

資料提供:メディカルライフ教育出版