心臓は、収縮と拡張を繰り返し ながら全身に血液を送りだす、ポ ンプのような役割をしています。 血圧は、心臓が収縮・拡張した とき、血液によって「血管にかか る圧力」を測定した数値です。高 血圧は、血管にかかる圧力が高い 状態のことを意味しています。 血管には弾力性があります。し かし、血管に高い圧力がかかり続けると、血管は厚みを増し、硬く なります。これが、動脈硬化です。 高血圧と動脈硬化は、互いに悪化 させ合う関係にあります。高血圧 で動脈硬化が起こり、動脈硬化で 血圧はさらに高くなります。 動脈硬化の恐ろしい点は、硬く なった血管が詰まったり、破れた りすることで、臓器の壊死を起こ すことです。 脳卒中(脳出血/脳梗塞)や心 臓病(狭心症/心不全)といった 生命の危機に至る病気も、「最初は高血圧から始まっていた」とい うことが多くあります。
血管にかかる圧力が高くなる原
因のひとつは、血液に含まれる水
分量が増えることです。増量した
血液を循環させるためには、より
高い圧力をかけることが必要にな
るためです。
では、血液に含まれる水分は、
なぜ増えてしまうのか・・・その原因となっているのが、「塩分」で
す。血液中の塩分濃度を一定に保
つためには、より多くの水分が必
要になるからです。
塩分の過剰摂取以外にも、高血
圧の原因は様々なことが考えられ
ます。
血圧が高い人は放置をせず、か
かりつけの医師に相談するか、内
科を受診するようにしましょう。
昨年4月、日本高血圧学会は『高 血圧治療ガイドライン2019』 を発表しました。 まず覚えておきたい血圧の値 は、収縮期120~129/拡張期 80mmHgに未満という数値です。こ の数値の範囲に収まっていれば、 血圧は正常とされています。 ひとつ注意したいことは、収縮 期血圧か拡張期血圧のどちらかが 正常値より高い場合でも、高血圧 と診断される点です。 新しいガイドラインで示された 高血圧の基準値は従来と同じく、 診察室(病院で測った)血圧が 140/90mmHg以上で、家庭(自宅 で測った)血圧が135/85mmHg 以上です。 診察室と家庭に分けてあるのは、 病院で血圧を測ると緊張感なども あって、数値が高めとなる傾向が あるからです。 高血圧の基準値を超えている人 には、生活習慣の積極的な改善だ けでなく、必要に応じて降圧薬に よる治療を開始することが推奨さ れています。 また、今回のガイドラインの特 徴は、正常値と高血圧の境界の方 ・・・診察室血圧が130/80mmHg 以上の人にも、生活習慣の改善が 必要とされ、正常値を目指して血 圧を下げるように提言されている ことです。 日本人の収縮期血圧の平均は、 男女ともに130mmHgを超えてい ます。生活習慣の見直しは急務と 言えるでしょう。 食事は減塩を。そして、喫煙や アルコールの過剰摂取を止め、運 動習慣とストレス解消法を生活に 取り入れることが大切です。
資料提供:メディカルライフ教育出版