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知っておきたい虫歯のこと


新型コロナウイルス感染症の流行をきっがけとして、「感染症」に対して興味を持たれている方も多いことでいことでしょう。ちなみに、むし歯も感染症の一種で、こちらは「細菌感染症」です。虫歯に対して、ここから改めて見えてくることがあります。

●感染症としてのむし歯

生まれたばかりの赤ちゃんには、むし歯菌(ミュータンス菌)は存在しません。では、どこから感染したのかというと、おもにご家族からということになります。例えば、口移しやで食べ物を与えたりすることで、むし歯菌に感染します。 むし歯菌の感染は、大人同士でも起こります。お口の濃厚接触や食事用の器具の共用、歯磨き道具の接触いま一度、これらが衛生的に問題のない状態になっているかチェックしてみてください。

●虫歯には、巣と餌が必要

むし歯菌とウイルスのもっとも大きな違いは、むし歯菌は生物であるという点です。このためむし歯菌が生存し増殖するためには、巣と餌を必要とします。虫歯の巣となっているのが、プラーク(歯垢)です。虫歯菌は歯の表面に付着すると自分でプラークを生成してそこで増殖していきます。やがてプラークは歯石へと変化していきますが、この歯石も虫歯菌の巣となります。そして虫歯菌が活動するための餌となるのが、お口の中に残った食べ物のカスです。虫歯菌は特に糖を好み、糖を分解して酸を生み出します。この酸が歯を溶かして、虫歯が発生します。

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●ここから何が見えるか

むし歯は細菌感染症ということで、まずは感染を防ぐ、感染させないということが大切です。しかし、むし歯菌の感染を完全に防ぐことは不可能とされています。そこでさらに重要になってくるのが、「免疫力」です。むし歯菌に対する最強の免疫力は、抗菌作用のある「唾液」です。みなさんのお口のなかには唾液が十分に分泌されて、免疫力が保たれているでしょうか?現在、多くの方が新型コロナウ イルス感染症対策としてマスクを着用しています。マスクをしていると口呼吸が増え、お口のなかが乾きやすくなります。唾液でしっかりお口のなかが湿っているか十分に注意してください。さらに、むし歯菌が生物であることを知ることで、むし歯菌には巣と餌が必要であることがわかりました。逆に言えば、巣を破壊し餌を与えなければ、むし歯菌の増 殖を防ぐことができます。ここから、むし歯菌の巣とな芯プラークや、餌となる食べ物のカスを取り除く、正しい歯磨き(ブラッシング)が、いかに大切であるかがわかります。同時に、歯磨きでは取れない歯石を、歯科医院で定期的に除去することの必要件もあらためて見えてきます。

●コロナ禍の虫歯

「コロナむし歯」という造語があることを、ご存知でしょうか?これはもちろん、新型コロナウイルスによって、むし歯が引き起こされるという意味ではありません。この言葉は、むし歯になっている方や、むし歯の治療中の方、さらには定期的に歯科院で検診を受けていた方が、新型コロナの影響で歯科医院への受診を控え、結果的にむし歯をはじめ、口腔の健康状態が著しく悪くなっていることを表わしています。実際に、新型コロナの流行以降、自己判断による歯科医院への受診控えで、むし歯や歯周病が悪化している方が増えています。ところでみなさんは、むし歯の初期症状というと、なにを思い浮かべますか?「歯の痛み」と答える方も多いことでしょう。しかし歯が痛む状態は、すでに歯の表面のエナメル質が溶かされ、象牙質にむし歯が進行していることが考えられます。歯に痛みがある場合は、それが軽度であっても一刻も早く歯科医院を受診してください。さらにすでに強い痛みがある場合は、歯根の神経にむし歯菌が感染している恐れがあります。この状 態を放置しておくと、歯を失う危険性が非常に高くなります。新型コロナウイルス感染症の流行が始まって二年以上たちますが、歯科医院においては、全国で一件も新型コロナのクラスターは発生していません。これには、むし歯や歯周病といった細菌感染症の治療にあたってきた、歯科医院の衛生面での実績が大きく関係しています。コロナ禍のなか様々な不安はあると思いますが、自己判断で歯科医院への受診を控えずに、かかりつけの歯科医師とよく相談してください。そして、治療計画に沿った受診をしていくようにしましょう。

資料提供:メディカルライフ教育出版