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歯周病と認知症の関係は?


高齢化の進む日本では認知症の人は増加していて、2025年には700万人に達すると予想されています。認知症を完治する治療法は現在のところないため、予防がとても重要になります。そのための方法のひとつとして、歯周病の予防や治療が注目されています。

歯が少ないと認知症になるリスクが増える

歯を失う原因としてもっとも多いのが、歯周病です。歯の残存数と認知症の関係について調べた研究によると、健康な大は平均15本の歯が残っていたのに対して、認知症の疑いのある大は9本でした。また、認知症のリスクを調査した研究では、歯が20本以上ある大に比べて、歯が無い人の認知症リスクは約2倍に昇り、良く噛んで食べることができる大に対して、あまり噛めない人の認知症リスクは約1.5倍となっています。 さらに、歯が少ない大ほど、記憶や学習に関わる海馬や、意志や思考の機能を司る前頭葉の容積が少なくなっていたこともわかりま した。

噛むことでアミロイドβの沈着を防ぐ

認知症のうち約6割は、脳の萎縮によって起こる「アルツハイマー型認知症」です。脳の萎縮は、アミロイドβが脳に沈着することで起こるという見方が有力です。ある大学で、(食物をよく噛める)正常なマウスと、歯がなく柔らかい物しか食べられないマウスを比較した研究が行なわれました。結果として、歯のないマウスには大脳皮質にアミロイドβが沈着し、海馬の細胞数も少なくなっていることがわかりました。これは、脳への刺激が少ないとアミロイドβ白が脳から排出されにくくなるためだそうです。こうしたことから、食物をよく噛んで食べることは、アルツハイマー型認知症の予防に繋がると考えられています。

歯槽膜---噛むことで脳を活性化

歯周病によってなぜ歯が失われるかというと、歯周病菌によって 歯を支えている骨や組織が破壊されてしまうからです。揚げ物を噛むとサクサクとした食感を感じます。柔らかい食物、硬い食物……」こうした食感は、「歯 槽膜」の働きによって脳に伝えられます。歯槽膜は、歯と歯を支える骨(歯 槽骨)の間にある繊維状の組織で、歯と歯槽骨の間で、クッションの役割をしています。歯槽膜の働きはそれだけではありません。歯で物を噛んだとき、歯は僅かに沈んだり揺れたりします。この歯の動きを歯槽膜は脳に伝えるセンサーの役割もしています。歯槽膜のこの働きによって、噛むことが脳を刺激することにつながっています。一方、歯が抜け落ちた状態だと歯だけでなく歯槽膜も失われます。このため脳へ伝わる刺激が減少し、認知症のリスクが高くなると専門家は見ています。

胃の粘膜 画像

歯周病菌そのものが・・・

 ここまでは、歯周病により歯が抜けることで、認知症のリスクが 高まるケースを見てきました。近年の研究では、歯周病の原因である歯周病菌自体にも、認知症を発症・悪化に影響を与える働きがあることが、マウスを使った実験でわかりました。血管に入り込んだ歯周病菌は、血液によって全身に運ばれ、アルツハイマー型認知症の原因物質とされるアミロイドβを生成します。 さらに歯周病菌には、アミロイドβを脳に取り込ませる働きを強める性質もあったのです。まだ、マウスを使った実験の段階なので確定的なことは言えませ んが、人間の身体においても同様のことが起きている恐れがあり、注目されています。

歯周病を予防・治療する

歯と歯ぐきの境には、「歯肉溝(しにくこう)」という溝がありま す。歯肉溝の深さは、健康な状態では1mm~2mmです。 この溝に歯垢が溜まると、歯垢に生息する歯周病菌が繁殖して溝を深くしていきます。これが、歯周ポケットです。まずは正しい歯磨きの方法を身につけて、歯垢を除去するようにしましょう。とはいえ重度の歯周病では、歯周ポケットの深さは6mm以上の深さになります。こうなると、歯ブラシで歯周ポケットの歯垢を除去することは、不可能になります。歯科医院を受診して定期的に歯垢や歯石の除去を行なってください。

資料提供:メディカルライフ教育出版