A子さんは、最近気になっていることがありました。家のなか で家族が「疲れた」というのを、よく耳にするようになったか らです。疲れとは、何なのでしょう? A子さんは、まず医師 である叔父さんに話を聞いてみることにしました。
叔父さん(以降、叔) 「おやA子ちゃん、久しぶりだね。みんなは
元気かい?」
A子(以降、A) 「叔父さん、こんにちは。それが、みんな最近疲れ
ている感じがするの。だから、『疲れ』について知りたいと思って」
叔 「なるほど。今年は新型コロナ
ウイルス性肺炎の流行で、生活様
式が一変してしまった。長引く不
安や緊張、加えて夏の暑さによっ
て、今、心身に疲労を蓄積させて
いる人はとても多いと思うよ」
A 「そうよね…。叔父さん、疲れるってどういう状態なのかしら」
叔 「日本疲労学会では、『疲労とは過度の肉体的および精神的活動、または疾病によって生じた独特の不快感と休養の願望を伴う身体の活動能力の減退状態である。』と
定義しているよ」
A 「つまり、身体や心に過度の負担がかかって、何かをした後に、
しんどさを感じてしまうのが疲れ
ってことね」
叔 「そうだね。精神や心とは脳の活動と考えるとわかりやすいね。
疲れも一時的で軽いものであれば、その都度回復して心身に影響は残らない。問題は、慢性的に疲れを蓄積してしまうことなんだ」
A 「じやあ、私、疲労の解消法を調べてみることにするわ」
叔 「それはいいね。ではヒントをあげよう。健康の維持に大切なもの3つ、わかるかい?」
A 「ええと、栄養バランスのよい食事、適度な運動、睡眠かしら?」
叔「その通り。疲労の蓄積の予防・回復にはこの3つが必要で、そのなかで一番大切なのが睡眠なんだ」
A 「そうなのね。叔父さん、ありがとう!」
上手に食べて疲労回復!
色々な食物が入った栄養バランスの整った
食事はとても大切ですが、3食作るのは大
変ですよね。缶詰やレトルト食品、お店の
お弁当を取り入れ負担を減らしましょう。
夏は水分も多めに摂取を!
*疲労回復物質クエン酸:
梅干しなど梅製品
*即効性のあるエネルギー源:
バナナ
軽めの運動を習慣に!運動後は水分捕給を忘れずに!
適度な運動は血行をよくし、疲労回復やストレスの軽減にも役立ちます。 ただ、日頃運動習慣がない人や、何か月か外出を控えていた人がいきなり激しい運動 を始めるのは危険です。室内ならば、熱がこもらないよう風を通したり、エアコンをきかせな がら軽めの運動を毎日短時間ずつ行いましょう。ストレッチやヨガ、 ラジオ体操は、全身を使うので血行がよくなります。また、踏み台 昇降運動は、脚の筋肉を鍛えるのにおすすめです。
夏の炎天下、外で運動するのは危険ですので、日差しか弱 い時間帯に、家の周りや町内 を無理なく散歩するのがよい かもしれません。 夏場はシャワーになりがちで すが、お風呂につかることも 疲労回復に効果があります。
心が疲れたら余白を作る!
今、心のなかに悩みがあって、疲れて いる人は恐らくたくさんいると思います。そんな時は、SNSを見ず、負担に なっている人間関係から距離をとるなどして 心への刺激を減らしてください。 ※何もしたくない、心が落ち込むなど明らかな不調を感じているときは、医療機関を受診してください。
質の良い睡眠で疲労回復!
ぐっすり朝まで眠ることは、身体だけでなく心(=脳)の疲労回復にもとても重要! 夏になると、気分が落ち込みがちになる人は、 暑さや湿度などが邪魔をして、睡眠の質を落と している可能性があります。 質の良い睡眠をとるために、下の項目を参考に 睡眠環境を見直してみてください!
疲れを回復する睡眠環境作り
*エアコンで温度管理を。
間取り上設置できない場合
は、ウインドエアコンとい
う窓にとりつけるタイプも。
費用的な問題がある場合は、
市区町村に迷わず相談を!
室内でも熱中症は起こります。
*室内の温度の目安は、26度
以下。湿度は、50%程度に。
*寝室内はできるだけ暗くし
ましょう。
*シーツや肌掛けなど、接触
冷感素材のものを使うと、
よ引央適に。
*アイス枕は、冷凍庫に入れ
ておけば繰り返し使えます。
*眠る30分前には携帯電話
を見るのをやめましょう。
*睡眠は、7時間はとりましょ
う。睡眠時間の確保を!
資料提供:メディカルライフ教育出版