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遺伝子と遺伝子検査


ヒトの命は、受精卵というたった一つの細胞から始まります。受精卵は母親の胎内に着床したときから分裂を 始め成長していきます。出産後も身体は細胞分裂を繰り返し、大人の身体を構成する細胞の数はおよそ37兆個になるといいます。 なぜたったひとつの細胞が、ヒトの身体を作ることが出来るのでしょうか? それは、細胞の中にあるDNAと遺伝子がカギを握っています。今回は遺伝子を解析して行われる遺伝子検査についてとりあげます。

DNAとは何か?

細胞のなかにはヒトの設計図が入っています。それも、37兆個の 細胞の一つひとつの中に同じ設計 図が入っているのです。そのため、 遺伝子検査は細胞が採取できれば 可能で、目的に応じて血液や唾液などを用いて行なわれます。 検査そのもののお話の前に、まずは検査に用いられる遺伝子とは 何なのか見ていくことにしましょう。図も参照してください。 ひとつの細胞のなかには、核があります核の内部には染色体と いうものがあうて、さらにそこに 折りたたまれて入っているのが DNAです。 DNAはA(アデニン)、T(チ ミン)C(シトシン)、G(グア ニン)という化学物質が長く鎖状に連なった組織です。通常は2本 が絡み合って、4つの物質が配列 を変化させながら、はしごのよう に結びつき、螺旋(らせん)形を 描いています。この4つの文字の 組み合わせで作られる暗号のよう なものに、ヒトの生まれながらの 性質=遺伝情報や、組織の性質などの どの全情報が含まれるとされ「生 命の設計図」と呼ばれています。

遺伝子とは何か

遺伝子とは何か 画像ヒトの身体の成分の7割は水分 ですが、次に多いのは2割を占め るタンパク質です。タンパク質は 人体を構成する重要な成分で、皮 膚や内臓の部品となったり、酵素 として組織に働きかけたり様々な 役割を担っています。人体に存在 するタンパク質は10万種類といわ れています。 つまり実質的にヒトの身体を作 っているのはタンパク質です。 DNAの膨大な暗号のなかにあ るヒトのタンパク質の設計図が書 き込まれた部分の全体~それを 遺伝子とよびます。この遺伝子の 情報こそ「ヒトの設計図」になり うるのです。世界中の研究機関が 協力して暗号解読したところ、 DNA中の2%が遺伝子であるこ とがわかりました。遺伝子の情報 は99.9%はヒトに共通するもの で、ほんの0.1%ほどの違いが 髪や目の色、体格などの違いを生ん でいます。そして、どこかの遺伝子に変異があると、特定のタンパク質に異常が起こり、病気に繋がる可能 性があるのです。遺伝子の変異は先 天的にも後天的にも起こりえます。

遺伝子検査は身近なものか

 遺伝子検査は血液などから行な うことができると前述しました。 案外手軽に行なえるものだと感じ た方もいると思います。インター ネットで「遺伝子検査」と検索す れば、自分で行う診断キットなど も表示されます。採血して解析機 関に送ると結果が送られてくると いうものです。 しかし、遺伝子検査は決して気 軽な気持ちで受けるものではあり ません。一般に、医療機関で遺伝 子検査を受ける場合は、専門のカ ウンセラーによる遺伝子カウンセ リングを受けることになります。 そこで説明を受けた後に、検査を 受けるかはご自身で決めていただ くことになります。

 遺伝子検査とは

 なぜ遺伝子検査を受けるのに、このように慎重な過程を経なけれ ばならないのでしょうか。 医師のもとで患者さんが遺伝子 検査を受ける主な目的は、 ①先天性の病気の原因が、どの 遺伝子の異常によって起こってい るのか調べる ②後天的に発症した病気を引き 起こしている可能性のある遺伝子 を調べる ③親と同じ病気に自分も発症す る可能性があるか調べる ④妊娠した際、赤ちゃんの先天 性の病気などの有無を調べる ①や②のメリットは、検査を受 けることで有効な治療を見つけら れる可能性があることです。けれ ども、異常な遺伝子を見つけても 治療法がまだ確立していない場合 もあります。 ③④はさらに難しい問題があり ます。③が生活習慣病ならば、生 活習慣の改善や定期的な検診によ り、予防も可能ですが、もし遺伝 性の難病で、自分ち発症可能性が あるとわかった場合、お子さんや 兄妹など家族の問題に発展する可 能性があります。④は、もし先天性の病気である 可能性が高い場合、ご夫婦で非常 に難しい選択を行なうことになり ます。 現在、遺伝子検査の精度はより 高くなっています。遺伝の悩みを 持たれている方、病気の治療の過 程で遺伝子検査の選択肢がでてき た場合は、担当医や専門のカウンセラーとよく相談の上、最終的に はご自身で決めていただくことに なります。